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Blog Latina [ブログ・ラティーナ]

月刊ラティーナを発行する(株) ラティーナの情報発信用ブログ!

ベルナ・セッパスのインタビュー~彼の多彩な活躍ぶり~

日本でも人気の高いシルク・ドゥ・ソレイユの新作『Ovo』が今年4月にモントリオールで初披露された。タイトルからもわかるように今作の制作にはブラジル人たちが深く関わっている。作品全体の監督は自身のカンパニーを率いて昨年来日し、人気を博した女性振付師のデボラ・コルカー、音楽担当は、オルケストラ・インペリアルの中心人物でもあるベルナ・セッパス。
今回はこのベルナ・セッパスのインタビューを一部掲載します!

berna_ceppas
↑カシン(奥)とベルナ・セッパス

――オルケストラ・インペリアルでの活動と、その他の音楽活動をどのように結びつけていますか?この集団でのあなたの役割は?

このオルケストラはそれぞれの活動と平行して行っている、いわば「プランB」。目的は「音楽するのを楽しむこと」なんです。時期がきたら、私たちは集まって、演奏をする。友達同士で集まってサッカーやるような感じなんだ。私は設立メンバーの一人で、ジェラルド・マガリャゥンイスとカシンとで、バンドの調整をしている。
ステージでの私の役割はサッカーで言ったらオール・ラウンド・プレイヤーみたいなもので、それぞれの曲の必要に応じて、さまざまな種類の楽器(ハワイアン・ギター、サンプラー、シンセサイザー、小さな打楽器などなど)を演奏するんだ。

――シルク・ドゥ・ソレイユでの仕事はどうでしたか?CDの発売は?

この仕事はさまざまな考え(作品のタイプだったり、そのすべてのニュアンス、それからサントラの音楽というものはアクロバティックな演技と以前のサントラから受け継いだスタイル、また今作での変化などを強調しなくてはならないということ)の中で行った、ひとつの挑戦でした。ブラジル風にひとつの曲のベースを作って、それを作品全体とプロデューサーであるデボラの方針と求めるものに合うように作っていった。時にはアドベンチャーの世界にいるみたいだったよ、というのもモントリオール(「Ovo」の初演の場所)で曲を作らなければならなくて。あそこは零下35℃にもなるすっごく厳しい気候なんだよ。私のスタジオとはほど遠い環境なわけだ。
それからCDの発売に関してだけど、答えはイエス!今年中には録音する予定だよ。

――かなり多彩な活動をなさっているので、仕事や作品の構想が混乱したりはしませんか?

そうは思わないよ。実際のところ、すべてはつながっていると私は考えている。私はたしかに映画やダンスのサントラや曲作りなど、同時に複数の分野で途方もないほどの活動をしているが、その経験はすべてがひとつになって、私の考えやインスピレーションを若返らせてくれるんだ。例えば、ジョルジ・マウチネールのアルバムをプロデュースしたが、私はその時彼の音楽や考え方に触れ、とても豊かなスピリットを補給することが出来た。そしてその気持ちは私を次の仕事へと運んでくれるんだ。映画のサントラだって、今度のデボラの作品だって、こんな風になるんじゃないかな。

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  1. 2009/06/06(土) 21:18:15|
  2. オルケストラ・インペリアル
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Orquestra Imperialオルケストラ・インペリアルのライヴ映像をどうぞ!

 ブラジルはカーニヴァル真っ最中! カーニヴァルの情報お追いかけるには、中原仁さんがブログで、いいサイトの情報をまとめられています。
 
 カーニヴァルの雰囲気を少しでも味わいましょう! ってことで、本日はShowlivre.comから、オルケストラ・インペリアルがSPで行った最新ライヴ映像をどうぞ。うまく映像が見れない人はこちらから。




オルケストラ・インペリアル『カルナヴァル・ソ・アノ・キ・ヴェン』プロモーション・サイト

オルケストラ・インペリアルをはじめ、サンバ新潮流の動きが、各メディアで取り上げられています

オルケストラ・インペリアルOrquestra Imperial『カルナヴァル・ソ・アノ・キ・ヴェンCarnaval So Ano Que Vem』全曲解説!

オルケストラ・インペリアルOrquestra Imperial メンバー紹介[写真付き]

MUSASレーベルより「オルケストラ・インペリアル」リリース!

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最新海外ニュース http://www.latina.co.jp/index.html
15歳の天才フォーク少女登場(02/02,ブラジル)
マイケル・ジャクソンの子供たち、はじめてヴェールを脱ぐ(02/02,アメリカ合衆国)
ボリビア機、胴体着陸 死者は0(02/02,ボリビア)
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二人のブラジル人美女が『最も恋人にしたい女性』のベスト10にランクイン!(02/01,ワールド)
ノエル・ホーザの名曲の数々が、今年から著作権フリーに(02/01,ブラジル)
サンバの未来を担う子どもたち計4,000人のパレードでリオのカーニヴァルがスタート(02/01,ブラジル)
シャキーラ、元アルゼンチン大統領の息子と結婚?!(02/01,コロンビア、ワールド)

テーマ:ラテン、ブラジル、ボサノヴァ、フォルクローレetc. - ジャンル:音楽

  1. 2008/02/04(月) 18:50:58|
  2. オルケストラ・インペリアル
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オルケストラ・インペリアルOrquestra Imperial メンバー紹介[写真付き]

 昨日、一昨日に引き続き、オルケストラ・インペリアルの話題。本日は、全メンバー19人のメンバー紹介です。こちらも、昨日取り上げた全曲紹介と同じく、ラティーナ08年1月号に掲載したもの。掲載したものは、ベルナ・セッパスの各メンバーへのコメントを中心に組み立てたメンバー紹介でした。今回[別Profile]としている部分は、06年に「Moreno-Domenico-Kassin+2」が来日した際に制作した特設ページで紹介した際のプロフィールです。

Moreno.jpg
■Moreno Veloso(Vo) モレーノ・ヴェローゾ。音楽プロデューサーで、「+2」バンドのメンバー。物理学部を修了している。:(現在入手しやすい代表作)『モレーノ+2/タイプライター・ミュージック』『モレーノ+2/タイプライター・ミュージックremix』
[別Profile:父親はトロピカリズモの創始者のひとりで、ブラジル音楽界の最重要アーティスト、カエターノ・ヴェローゾ。カエターノの作品には曲も提供し、リミックスも手掛けている。名作『プレンダ・ミーニャ』にはゲスト参加。カシン、ドメニコ、アンドレス・レヴィンらと創った初のリーダーアルバム、モレーノ+2『タイプライター・ミュージック』を2001年1月にリリース。同年5月には来日公演も果たし、日本の音楽ファンに熱狂的に受け入れられた。操る楽器はギター、トランペット、チェロ、パンデイロととにかく多彩な才能の持ち主。物理学が得意。]

Domenico.jpg
■Domenico(Dr) ドメニコ。「+2」バンド、「オス・リチミスタス」のメンバーで、すごく料理が上手で、グラフィック・アーティスト。:『ドメニコ+2/シンシアリー・ホット』『オス・リチミスタス』
[別Profile:90年代の伝説のカットビ・ロック・バンド「ムリェーリスキヂーゼンシン」のドラマー。サンバ、サンバロック、ロックとありとあらゆるジャンルの音楽を繰り出すドラミングは必見。父は正当派サンバ・正当派ボレロの偉大な作曲家&歌手、イヴォール・ランセロッチ。2001年5月には「モレーノ+2」で来日公演し、2002年6月に、ドメニコ+2『シンシアリー・ホット』をリリース。画家であり造形作家でもある、まさにアーティスト。]

Kassin.jpg
■Kassin(B) カシン。音楽プロデューサーで、「+2」バンドのメンバー。個人のプロジェクトの「Artificial」もやっている。オルケストラ・インペリアルの発起人。:『カシン+2/フィーチャリズモ』『カエターノ・ヴェローゾ&ジョルジ・マウチネル/俺は謝らない』
[別Profile:ベース、ギター、プログラミング、シンセサイザー。自身が運営する”Monoaural studio”を拠点に精力的な創作活動を続け、プロデューサー、コンポーザー、プログラマー、ベーシストとして、カエターノ・ヴェローソ、ベベウ・ジルベルト、アート・リンゼイ、レニーニ、宮沢和史、サイゲンジ等の作品を手掛けてきた“90年代以降のブラジル音楽シーン影の立役者”。卓越したセンスと膨大な音楽知識、一流のプレイヤビリティとリスナー感覚で、ブラジル音楽新世代派の旗頭として全世界から一目を置かれる存在。]

pedro-sa.jpg
■Pedro Sa(Gt) ペドロ・サー。音楽プロデューサーで、今はカエターノ・ヴェローゾと一緒に活動している。:『カエターノ・ヴェローゾ/セー』
[別Profile:カエターノ・ヴェローゾの2005年の来日公演でもすばらしいギターを披露してくれたスーパーギタリスト。参加作品は数知れないが、特にカエターノやレニーニ作品でのプレイは印象深い。「モレーノ-ドメニコ-カシン+2」ユニットの準メンバーでもあり、オルケストラ・インペリアルにも参加する。][ペドロ・サーのみ、写真の撮影日が違いますが、カエターノのコンサートで忙しくて、撮影に参加できなかったそうです。]

Stefan.jpg
■Stephane San Juan(Per) ステファン・サンジュアン。国際的なキャリアを持つを持つドラマーで、現在はロバゥンと一緒に演奏している。:『オス・リチミスタス』

Berna.jpg
■Berna Ceppas(Soundo Effect) ベルナ・セッパス。映画やダンスやTVなどの音楽を作っている音楽プロデューサー。カシンとは様々の仕事を一緒にやっていて、「Monoaural」というスタジオを所有している。オルケストラ・インペリアルの発起人。:『OST/フランシスコの2人の息子』

Nina.jpg
■Nina Becker(Vo) ニーナ・ベッカー。ファッション・デザイナーで、ソロ歌手としてのキャリアもある。

Thalma.jpg
■Thalma de Freitas(Vo) タルマ・ヂ・フレイタス。TVグローボの女優で、ソロ歌手としてのキャリアもある。
[別Profile:カシンのプロデュースでソロ・アルバム『タルマ・ヂ・フレイタス』を発表したオーケストラ・インペリアルのフロントの内の1人。女優でもある。同アルバムには、ウィルソン・ダス・ネーヴィスとベベートが参加し、『フューチャリズモ』にはボーナス・トラックとして収録のカシン作「トランクイーロ」も収録されている。]

Rodrigo.jpg
■Rodrigo Amarante(Vo) ホドリゴ・アマランチ。歌手で作曲家。人気ロック・バンド「ロス・エルマノス」のメンバーだった。デヴェンドラ・バンハートとの親交も厚く、彼の作品の録音にも参加している。:『ロス・エルマノス/4』『デヴェンドラ・バンハート/スモーキー・ロールズ・ダウン・サンダー・キャニオン』
[別Profile:ロス・エルマノスの2枚看板のうちの1人。オルケストラ・インペリアルにも参加する。カシンたちとの交流も長く、カシンのデビュー作である『アカボウ・ラ・テキーラ/オ・ソン・ヂ・モーダ』にも彼は参加している。プレイヤビリティーも一流で、ブラジルのインターネット投票で行われた2005年の最優秀プレイヤーにも選ばれている。ブラジルのロック少年・少女の憧れの的だ。コンポーザーとしても一流。]

Max.jpg
■Max Sette(Sax,Flugelhorn,Vo) マックス・セッチ。ソロ歌手としても活動しているホーン奏者。

Rubinho.jpg
■Rubinho Jacobina(Key,Vo) フビーニョ・ジャコビーナ。作曲家で、フビーニョ・イ・フォルサブルータとしてソロ・アルバムも発表している。
[別Profile: ペドロ・サーとバルトーラというオルケストラ・インペリアルの2人のプロデュースで『フビーニョ・イ・フォルサ・ブラータ』というアルバムを発表した、ヴォーカル/キーボーディスト/コンポーザー。同アルバムにはドメニコがドラムで全曲に参加している。]

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■Nelson Jacobina(Gt) ネルソン・ジャコビーナ。ブラジル大衆音楽史上の偉大な人物であるジョルジ・マウチネルと長年共作関係にある。:『カエターノ・ヴェローゾ&ジョルジ・マウチネル/俺は謝らない』
[別Profile: カシン・プロデュース作『オレは謝らない』で、ジョルジ・マウチネスの重要な共作者として活躍するギタリスト。フビーニョ・ジャコビーナの兄でもあり、フビーニョのアルバムにも参加している。『カシン+2/フューチャリズモ』にもヴィオラゥンで参加。]

Bartolo.jpg
■Bartolo(Gt) バルトーロ。現在は歌手のシベーリのギタリストとして活動している。レオ・モンテイロと「DUPLEXX」をやっている。

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■Felipe Pinaud(Fl) フェリピ・ピナウヂ。信頼されているスタジオ・ミュージシャンで、オーケストラ・インペリアルのホーン・アレンジは全て彼によるもの。ソロ・アルバムの発表も近い。

Bidu.jpg
■Bidu Cordeiro(Tb) ビドゥ・コルデイロ。ロック・バンド「パララマス・ド・スセッソ」のトロンボーン奏者で、バンド「Reggae B」の創設者。

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■Mauro Zacharias(Tb) マウロ・ザシャリアス。トロンボーン奏者でロス・エルマノスを始め、多くのバンドをサポート。

LeoMonteiro.jpg
■Leo Monteiro(Per) レオ・モンテイロ。バルトーラと共にエレクトロニカ・ミュージックのプロジェクト「DUPLEXX」をやっている。

Bordao.jpg
■Cesar Farias "Bodao"(Per) セーザル・ファリアス“ボダゥン”。「コネクサゥン・ジャペリ」というバンドをやっていて、現在フェルナンダ・アブレウのバンドのドラマーとして活動。

Wilson.jpg
■Wilson das Neves(Per,Vo) ウィルソン・ダス・ネヴィス。オルケストラ・インペリアルの長老。作曲家で歌手としてもソロ・アルバムを1枚出しているけれど、ブラジル音楽史上で最も偉大なドラマーのうちの1人。ドラムでサンバのリズムを叩き出したパイオニア。500組以上のMPBのアーティストと録音を残したり共演したりしている。80年代からシコ・ブアルキのバンドのメンバーでもある。:『シコ・ブアルキ/カリオカ・アオ・ヴィーヴォ』
[別Profile:マルセロD2をして、“完璧なリズムをたたき出す”と言わしめた伝説的ドラマー。声にも味があり、今はヴォーカリストとして活動することも多い。オルケストラ・インペリアルには、“長老”として、ゲスト・ヴォーカルとしての色が強いが参加している。]

MUSAS4001.jpgオルケストラ・インペリアル『カルナヴァル・ソ・アノ・キ・ヴェン』
MUSAS 4001
定価 2940円(税込)

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クラウヂア・レイチがソロ活動について語る!(01/31,ブラジル)
「世界で最もリッチな女性歌手」シャキーラ4位、マドンナ1位!!(01/31,ワールド・コロンビア)
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ブラジルで日本文化や日系移民に対する意識高まる!?(01/29,ブラジル)
シルビオ・ロドリゲスが刑務所で慰問コンサート(01/29,キューバ)
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マリーザ・モンチ、ナナ・ヴァスコセロス率いる500人のマラカトゥ隊と共演(01/29,ブラジル)

テーマ:ラテン、ブラジル、ボサノヴァ、フォルクローレetc. - ジャンル:音楽

  1. 2008/01/31(木) 14:01:25|
  2. オルケストラ・インペリアル
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オルケストラ・インペリアルOrquestra Imperial『カルナヴァル・ソ・アノ・キ・ヴェンCarnaval So Ano Que Vem』全曲解説!

 昨日に引き続き、好評発売中のオルケストラ・インペリアル『カルナヴァル・ソ・アノ・キ・ヴェン』の話題です。オルケストラ・インペリアルを大フィーチャーしたラティーナ08年1月号で紹介した『カルナヴァル・ソ・アノ・キ・ヴェン』の全15曲の解説を特別掲載。

ORQUESTRA1.jpg

『Orquestra Imperial/Carnaval So Ano Que Vem』全曲解説

◆Tr01 ME DEIXA EM PAZ【ミ・デイシャ・エン・パス(放っておいて)】(Monsueto/Ayrton Amorim)
 1951年に録音され1952年のカーニヴァル・ヒットとなった「ミ・デイシャ・エン・パス」。ヴォーカルをとるのは、ファションデザイナーでロシア系の色白美人(!)のニーナ・ベッカー。1919年生まれで「オー・アブリ・アーラス!」を初めとして数多くのカーニヴァル・ヒットを残したリンダ・バチスタの録音が当時のヒットとなった。後に、ミルトン・ナシメントも『クルビ・ダ・エスキーナ』で録音している。

◆Tr02 SEM COMPROMISSO【セン・コンプロミッソ(何の約束もなしに)】 (Nelson Trigueiro/Geraldo Pereira)
 シコ・ブアルキが1974年のアルバム『シナル・フェシャード』で取り上げ、ジョアン・ジルベルトが1985年のスイスのモントルー・ジャズフェスティバル出演時に取り上げ、その録音盤にも収録されている「セン・コンプロミッソ」。ヴォーカルをとるのは、モレーノ・ヴェローゾ。1940年代~50年代にカーニヴァル・サンバの作曲家として活躍した1918年生まれのジェラルド・ペレイラの作品。当時のラパ地区は、マダム・サタンやノエル・ホーザといったボヘミアンのサンビスタのたまり場だった雰囲気が残っていた。

◆Tr03 OBSESSAO【オブセサゥン(執着)】(Milton de Oliveira/Mirabeau)
 1955年にサンバやマルシャといったカーニヴァル・ソングを得意としていた黒人女性歌手のカルメン・コスタによって録音され、1956年のカーニヴァル・ヒットとなった「オブセサゥン」。本アルバムでヴォーカルをとるのは、ホドリゴ・アマランチ。ミラベアウとミルトン・ヂ・オリヴェイラのコンビによる作品で、同年にヒットした「ファラ、マンゲイラ」もこのコンビによる作品であった程の当時の売れっ子コンビだった。“多様なブラジル”をキャリアを通じて表現していた名歌手クララ・ヌネスも1979年作『エスペランサ』で本曲を取り上げていた。

◆Tr04 NAO FOI EM VAO【ナゥン・フォイ・エン・ヴァゥン(無駄ではなかった)】(Thalma de Freitas)
 オルケストラ・インペリアルのスピリットを要約するような過去と未来がミックスされた曲。ドメニコのドラムの上で、タンボリン、スルド、クイーカや電子パーカッションがリズムを刻む。ヴォーカルはタルマ・ヂ・フレイタスで、彼女のペンによる作品。別れについて歌う同曲は、実生活でオルケストラ・インペリアルのメンバーでもあるステファン・サンジュアンとの離婚と重なるが……。日本盤のボーナス映像では、女優としても大活躍している“ブラック・ビューティー”なタルマ・ヂ・フレイタスが本曲を熱唱する姿を見ることができる。

◆Tr05 ERECAO【エレサゥン(勃起)】(Domenico/Rubinho Jacobina/Pedro Sa/Nina Becker/Max Sette/Sandra de Sa)
 大人の男女が寄ってたかって作った「○起」について歌うポップ・ソング。Voはマックス・セッチ。オルケストラ・インペリアルの賑やかなライヴの雰囲気をもった曲だ。歌詞の意味を知って曲間のヴァーヴを聞くと、ヴォーヴの音が「○起」の音に聞こえてくるというユーモアたっぷりの曲。

◆Tr06 SALAMALEQUE【サラマレッキ(おおげさ)】(Rubinho Jacobina/Max Sette)
 続くこの曲もオルケストラ・インペリアルの賑やかなライヴの雰囲気をもった曲だ。「タント・ピレッキ、サラマレッキ」というゴロのいい響きが頭から離れなくなる。ヴォーカルは、フビーニョ・ジャコビーナ。フビーニョは、本アルバムでは唯一のこの曲だけでヴォーカルをとっている。

◆Tr07 O MAR E O AR【オ・マール・イ・オ・アール】(Domenico/Kassin/Rodrigo Amarante)
 穏やかな雰囲気、ハワイアン・ギターの響き、遠くで鳴るコーラス、メロディー・ラインに添えられたヴィブラフォンの音。ホドリゴ・アマランチがどことなくモノ憂いげな歌声で、愛と、海や大気といった自然との関係を歌うゆったりとしたボレロ。ブラジル盤では1曲目に置かれた。バンドの核となるメンバーたちのペンによる名曲。

◆Tr08 JARDIN DE ALA【ジャルヂン・ヂ・アラー(アラーの庭園)】(Moreno Veloso/Quito Ribeiro)
 モレーノが、バイーアをルーツに持ちリオで活動するSSWのキト・ヒベイロと共作した曲。キトの1st『ウマ・コイザ・ソー』 のプロデューサーにはペドロ・サーも名を連ねていた。“ボッサ市場”と言えるような曲で、アルバムのメランコリックな雰囲気を決定づけている。

◆Tr09 RUE DE MES SOUVENIRS【リュ・ドゥ・メ・スヴェニール(記憶の街路)】(Wilson Das Neves/Stephane San Juan)
 長老ウィルソン・ダス・ネヴィスと、フランスからやってきたパーカッショニスト、ステファン・サンジュアンとの共作曲。フランス語で歌われる。タルマ・ヂ・フレイタス作曲のTr04「 NAO FOI EM VAO」への回答とも受け取れる曲を、タルマ・ヂ・フレイタスとステファン・サンジュアンがデュエットする。粋だ。「ステファンが曲を作ったの。私たちは少し前まで結婚していて、曲ができる過程をずっと見ていたのよ。彼が私に見せてくれて、私は歌詞を覚えたわ。いいできでしょう?」(タルマ談)

◆Tr10 ERA BOM【エラ・ボン(昔はよかった)】(Wilson Das Neves/Max Sette)
 Voは、ウィルソン・ダス・ネヴィスとマックス・セッチのデュオで作曲したのも両者。ふっきれてしまった昔の恋を、老若のデュオで軽快に懐かしむ歯切れのよいサンバ。日本盤のボーナス映像で、長老ウィルソン・ダス・ネヴィスと、インペリアルきってのイケメンのマックスがニコヤカにデュエットする映像をみることができる。

◆Tr11 IARA IARUCHA【ヤラ・ヤルッチャ(開っきぱなしのヤラ)】(Nelson Jacobina/Tavinho Paes)
 ライヴでも頻繁に演奏してきたので、ライヴに通うリオの若者の間ではお馴染みの曲。ネルソン・ジャコビーナが詩人のタヴィーニョ・パイスと共作したこの曲が誕生したのは80年代初頭。キューバ、プエルトリコ、トリニダーヂを旅する「開っきぱなしヤラ」について、カリビアンのリズムに乗って歌われる。ヴォーカルは、ホドリゴ・アマランチ。

◆Tr12 ELA REBOLA【エラ・ヘボラ(彼女は揺れ動いて)】(Nelson Jacobina/Jorge Mautner)
 オルケストラ・インペリアルと相思相愛で“パトロン”的存在の、トロピカリアを生きた歌う知性「ジョルジ・マウチチネル」と、ネルソン・ジャコビーナとの共作曲。人なつっこいモレーノの声質を活かして聞かせる穏やかで心地よい佳曲。「宮廷のオーケストラ」という名に相応しい余裕のある優雅な演奏だ。

◆Tr13 SUPERMERCADO DO AMOR【スーペルメルカード・ド・アモール(愛のスーパーマーケット)】(Bartolo/Jorge Mautner)
 アルバム中最も賑やかな曲。ヴォーカルは、ニーナ・ベッカー。語り部分は、Tr12 「ELA REBOLA」の作曲者ジョルジ・マウチネルがゲスト参加し、冗談か本気かわからない調子で決まり文句を言っている。サンバのリズムに70年代ロックのアレンジ、それにマウチネルの語りと、トロピカリズモを余裕たっぷりにリファレンスした曲。

◆Tr14 POP CORN【ポップ・コーン】(Gershon Kingsley)
 電子楽器をポップスの世界に大胆に取り入れたガーション・キングスレーのオリジナルで、「ホット・バター」のモーグを大胆に使ったアレンジで世界的なヒットとなった曲。エレクトロ・ミュージック史に残る人気曲を、オルケストラ・インペリアルは管楽器の強みを活かしパワフルにカバー。

◆Tr15 DE UM AMOR EM PAZ【ヂ・ウン・アモール・エン・パス(平和の愛)】(Domenico/ Delcio Carvalho)
 ニーナの抑制の効いたヴォーカルで歌われる⑮は、ギル・エヴァンスのアレンジような重層的なホーンの響きで静かに語りかけてくる。愛の性質と、愛の終わりという普遍的なテーマを歌いながらも、哲学的な世界をもつ。全ての面で完成度の高い名曲。本曲を作詞しているデルシオ・カルヴァーリョは、イヴォニ・ララとの共作でも知られるSSW。

MUSAS4001.jpgオルケストラ・インペリアル『カルナヴァル・ソ・アノ・キ・ヴェン』
MUSAS 4001
定価 2940円(税込)

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マリーザ・モンチ、ナナ・ヴァスコセロス率いる500人のマラカトゥ隊と共演(01/29,ブラジル)
ジルベルト・ジルが4月にポルトガルでコンサート開催!(01/28,ブラジル、ポルトガル)
オゾマトリ、初のアルゼンチン・ライブ!(01/28,ワールド、アルゼンチン)
スペイン内戦を撮った3,000枚の写真がメキシコで発見される(01/28,スペイン、メキシコ)

テーマ:ラテン、ブラジル、ボサノヴァ、フォルクローレetc. - ジャンル:音楽

  1. 2008/01/30(水) 13:37:20|
  2. オルケストラ・インペリアル
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オルケストラ・インペリアルをはじめ、サンバ新潮流の動きが、各メディアで取り上げられています


『オルケストラ・インペリアル/カルナヴァる・ソ・アノ・キヴェン』のオフィシャルCMです!


 オルケストラ・インペリアルをはじめ、サンバ新潮流の動きが、各メディアで取り上げられています。

タワー渋谷店では、発売当初から大きく展開していただいています。
ありがとうございます!(写真は発売日の08年1月1日の様子)
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 タワーレコードのフリー・ペーパー『bounce08年1月号』では、1ページを割いていただいて、オルケストラ・インペリアルのインタビューが掲載されました。書き手は、ダブル・フェイマス/UNITの坂口修一郎さん。
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 現在発売『ミュージック・マガジン08年2月号』では、「ラパ地区発、サンバの国の新しいサンバ」と題して、ラティーナでも「オーガニック・アルヘンティーノ」を連載中の栗本斉さんによる、シーンを俯瞰する4ページに渡る記事が掲載されています。
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 また、同じく『ミュージック・マガジン08年2月号』では、真保みゆきさんによる『オルケストラ・インペリアル/カルナヴァル・ソ・アノ・キ・ヴェン』のロング・レビューが掲載されています。
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 07年の音楽シーンを総決算している『bounce08年2月号』でも、07年の音楽シーンのキーワードとして、「サンバ・ルネッサンス」が紹介されていて、『オルケストラ・インペリアル/カルナヴァル・ソ・アノ・キ・ヴェン』がジャケット付きで紹介されています。
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 福岡ローカルの雑誌、『NO(エヌオー)08年2月号』では、08年の流行予想として、タワーレコード福岡店のワールド担当の猪熊徹さんが『オルケストラ・インペリアル』をプッシュして下さいました!
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 HMVの通販サイトでも、「新世代サンバ・ディスク・ガイド」紹介中です。

 おっと、忘れちゃいけない。『月刊ラティーナ08年2月号』でも「新しいサンバ」特集してます。同じく『08年1月号』には、オルケストラ・インペリアルの中心人物ベルナ・セッパスへのインタビューを中心とした、オルケストラ・インペリアル大特集をやってました。

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サンパウロの創設454年のフェスタにベッチらが登場!(01/26,ブラジル)
ヌード審判員アナ・パウラ、サルゲイロから“レッドカード”(01/25,ブラジル)
ルベーン・ブラデス、ジャズ・フェスでボレロを熱唱!(01/25,パナマ)
映画『メウ・ノーミ・ナゥン・エ・ジョニー(僕の名はジョニーじゃない)』がブラジルで大ヒット中(01/25,ブラジル)

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  1. 2008/01/29(火) 12:25:35|
  2. オルケストラ・インペリアル
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