
『三位一体モデル』(中沢新一著)という本を先週末に読んだのですが、ワールドミュージックに関する記述があったので引用します。1歩立ち止まって考えさせられる内容です。
(指示代名詞の内容が気になった方は、実際に本を読んで下さいね。)
このことは「音楽」についても、同様です。日本人の音楽的感性にひびくような、「こぶし」や「うねり」。似たようなものは、中近東やトルコなどの民謡にも見られるのですが、こちらは、ヨーロッパの音楽では切り捨てられてきました。かつては、ヨーロッパでも、ピアノの調律などは不合理なぐらい複雑なやりかたをしていたのですが、ピアノを大量生産できるようになると、そんな面倒なことはやめようと、12音階に統一してしまった。つまり、「音の合理化」によって、音楽のよろこびの重要な部分を切り捨ててしまったのです。そして私たちはいまや、そうやってつくられたヨーロッパ音階を、音楽のルールとしています。どんなに反体制を掲げるロックでも、ヨーロッパで生まれた合理的な12音階の原理には、従っているのです。そのことを、私はセックス・ピストルズに問い詰めてみたい。もっとも、か彼らのギターは、チューニングが狂っていますが……。
しかし、逆に言うと、ビートルズのことをあれだけ批判していても、チューニングを狂わせることぐらいのことでしか、「反抗」できていないんですよね。より大きな、ヨーロッパの12音階という合理的なルールには、従っているのです。12音階が成立する以前、人間の音楽的感性は、もっと複雑でした。いまでもアラブの歌謡曲などを聴くと、ひじょうに複雑な音の現象が楽しまれているのがわかります。「ワールドミュージック」にしても、同じです。じっさい、ワールドミュージックとは、もともと音符であらわせず、ピアノでは演奏できないはずの音楽だったのですが。それを12音階に「合理化」してしまった。そうすると、何かが微妙に、変わっていくのです。そして私たちには、その微妙さが、だんだんわからなくなってくる。そして、その「微妙な何か」は、現在のデジタル化された音の処理においては、消滅してしまうことでしょう。こうして、人間はどんどん「合理化」に向かっていくことになります。(『三位一体モデル』P73より)
本書の著者の中沢新一氏は、現多摩美術大学・芸術人類学研究所所長の方ですが、ほぼ日刊イトイ新聞をはじめ数多くのメディアに露出されているので、ご存知の方も多いかと思います。11月初旬に発売された本書は、読めば読む程示唆が多く、しかも読みやすい1冊です。音楽への記述は、上で引用した程度ですが、音楽市場については考えさせられます。意思をもって仕事をしている人は是非読んで下さい!ではっ、また明日!
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