『VARIOS/ESTUDIO COCA COLA(エストゥヂオ・コカ・コーラ)』2415円

[人気者同士の熱き共演集]
ブラジルの音楽専門TVチャンネルMTVブラジルで、昨秋放送された特番がCDとDVDでリリース。当代の人気バンドがガチンコ対決する趣旨で、6グループ、3組の共演が収録。最初はアシェー界若手No.1、元ババード・ノーヴォのクラウヂア・レイチと、一昨年初来日した若手ロック・バンドのCPM22。2組目はポルト・アレグレから出たカショーホ・グランヂとロック界の重鎮ナンド・ヘイス。最後はレゲエ界のニューカマー、アルマンヂーニョと、昨年大ブレイクしたニューカマー、NXゼロ。この手の共演は歌手だけの場合が多いが、ここではアレンジも書き下ろしだ。バックバンドも丁々発止に絡み合い、聴き馴染んだ楽曲も新鮮な印象を受ける。未収録分(スカンキvsナサゥン・ズンビ、ネグラ・リvsピティ、マルセロD2 vsレニーニ)もあるので続編のリリースに期待したい。〔月刊ラティーナ08年6月号掲載 text by Willie Whopper〕
『OSWALDO MONTENEGRO/INTIMIDADE(オズワルド・モンチネグロ/インチミダーヂ)』2415円

[べテラン歌手の総決算的スタジオ・ライヴ]
まるでホーム・パーティーのような雰囲気で収録したスタジオ・ライブ・シリーズ『インチミダーヂ』。ギリェルミ・アランチンスに続いて第2弾としてリリースされたのは、昨年デビュー30周年を迎えたオズワルド・モンテネグロ。1956年生まれというから御年52歳のベテラン・シンガーだ。もともとはリオの出身だが、ミナスやブラジリアでの生活経験もある。日本ではマイナーな扱いだが、本国ではノヴェーラの挿入歌には欠かせない人物で、同世代を中心にファンが多い。近年はホベルト・メネスカルとのコラボレーションも順調だ。ここでは自身のキャリアを振り返るような内容で、ヒット曲を中心に披露、ブラジリダーヂ溢れる大人のフォークロックを聴かせてくれる。ゲストにゼカ・バレイロ、バンドリンのペドロ・アモリンも参加。ちょうど今頃はブラジル全土ツアーの真っ只中だ。〔月刊ラティーナ08年6月号掲載 text by Willie Whopper〕
『ZABE DA LOCA/BOM TODO(ザベー・ダ・ロカ/ボン・トード)』2625円

[「一体トシいくつやねん?」北東部のファン必聴]
タイトでスピーディなバンダ・ピファノス・ヂ・カルアルーと言えば北東部マニアの方なら思わずピクッと反応することでしょう。ザベーとは Isabelの愛称としてよく使われる名前でして、つまりはこの人、ブラジル北東部の葦笛・ピファノ吹きのばあちゃん。一体トシいくつやねん?!なのにこの切れ味の鋭さ、インパクトの強烈さはどうでしょう。そもそも楽器そのものの音程のデタラメさ(マジいい加減)で知られるピファノでありますが、彼女の高い演奏精度は驚嘆に値します。ザブンバやカイシャ(スネア)他、打楽器のビートも強靭そのもの。いかにも生身の人間が創り出す音楽って感じです。製作陣にマシエル・サルー、エスクリーニョ、そしてカルロス・マルタらが控えている(いずれも一部ゲストで演奏参加)ことからもわかる通り、実に素晴らしいクオリティに仕上がっています。北東部のフォルクローレファンならこれはもう必聴。〔月刊ラティーナ08年6月号掲載 text by 上沖央明〕
『ZEZE GONZAGA/ENTRE CORDAS(ゼゼ・ゴンザーガ/エントリ・コルダス(弦楽器と共に))』2415円

[静謐な美しさに貫かれた好盤]
ミカ・カウリスマキのドキュメンタリー映画『ブラジレイリーニョ』にも出演し、その上品で毅然とした佇まいが記憶に新しいゼゼ・ゴンザーガ。1926年生まれの81歳、ラジオ時代からブラジル音楽を支えてきた大歌手だ。本作はそのゼゼの歌と、弦楽器との共演を収録した美しい編集盤。クアルテート・マオガニ、アミルトン・ヂ・オランダ、ジョアン・リラ、マウリシオ・カヒーリョなどの他、バーデン・パウエル、ハダメス・ニャタリ、ハファエル・ハベーロなど、故人となったしまったマエストロとの貴重な録音を収録。静謐な美しさに貫かれた好盤である。ゼゼ・ゴンザーガの歌には、もちろん風格や威厳が感じられるのだが、それを支えているのは「歌心」に他ならない。「往年の大歌手」的な扱いを受けることもあるが、本作を聴けば彼女がいまだ現役の大歌手であることが認識されよう。〔月刊ラティーナ08年6月号掲載 text by 石郷岡 学〕
『PERI/SEGUNDO TEMPO(ペーリ/セグンド・テンポ)』2625円

[安定した実力のSSWの新作がまたよい]
前作『サンバ・パッサリーニョ(小鳥のサンバ)』が国内盤でも発売になり話題になったバイーア出身サンパウロ在住の気鋭のシンガー・ソングライター、ペリことペリアンド・コルデイロ・ノゲイラの新作が到着。人懐っこいメロディー・ラインは前作そのまま、ペリの軽やかなギターと歌声に加え、ブラシを多用し最小限にリズムを刻むドラム、トーン抑えめでそっと寄り添うようなベースのトリオを中心に、ベッドルームでセッションしている様な至極親密な空気感は癖になります。ヴァニア・アヴレウ、ジュサーラ・シルヴェーラをはじめとした♀Voの参加も見逃せません。ホドリゴ・マラニャォン『ボルダード』や、アフォンシーニョの『ベレー』、ヒカルド・テテ『ジェリンゴンサ』なんかがお好きな方は間違い無いかも。〔月刊ラティーナ08年6月号掲載 text by 石亀政宏〕
『GLAUCIA NASSER/A VIDA NUM SEGUNDO(グラウシア・ナセール/ア・ヴィダ・ヌン・セグンド)』2625円

[3枚目にして独自のMPBスタイルに進化]
バックミラーに映るはにかんだ笑顔は新たな道を見つけた彼女の気持ちの証。3枚目にして“突き抜けた開放感をもたらすフォーキー・ポップ・ブラジレイロ”へと脱皮したミネイラの女性シンガー・ソングライター。シンプルで芯の太いバンド・サウンドと鉄弦アコースティック・ギターのストロークを基盤に、ファルセットでひらりと身を返すしなやかで透き通った唄声は幾多のMPBレジェンドに匹敵。ミナス特有のメランコリー旋律、70’s U.S.産自作自演歌手のようなダイナミズム、親密なバンド・メンバー達と書き上げられた珠玉の曲達は“現代のクルビ・ダ・エスキーナ”と呼ぶに相応しいです。時にビッグ・バンド・ブラス、時に複数のヴァイオリン、時にサンバ、と彩りを添えながら綴られる煌めく叙情。車窓から夏の風に吹かれているような、天井知らずの期待と高揚が持続します。〔月刊ラティーナ08年6月号掲載 text by マットホワ伊藤〕
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