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Blog Latina [ブログ・ラティーナ]

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アドリアーナ・カルカニョット 来日直前インタビュー(前編)

アドリアーナ・カルカニョットの来日まであと2週間ほどとなりました。
今回はアドリアーナへのインタビューをまじえた花田勝暁氏による記事をご紹介します。(本日は前編)
記事の他にも、彼女の全ディスコグラフィーなどもご紹介していきますので、お見逃し無く!

adriana1
foto por Catarina Henrique

「その時の現実と繋がった時に、ある一曲の歌詞が、自分がそれまで貯えたどんな知識よりも効果的に力強く響くことがある。大衆音楽は今日でさえも、国の問題の闇を潜在的に照らす役割がある。それらが行動であっても政治的であっても。それ故に、音楽の空間は私たちのアイデンティティの形成において、特権的な場所を占める。ブラジルの偉大な作曲家たちは、ブラジルの恥や美点を伝令するものとして際立ってきた。大いなる才能で、この役割を果たす人たちの愛情に溢れた業績は、とても大きい。私たち観衆は、これらの音楽家に、適切で相応しい言葉で、受けるべき感謝の意を表すことは決してできない。でも、私たちの心や精神への特別な声として、彼らを再認識し讃えることはできる。
 ブラジル音楽は、アドリアーナ・カルカニョットという、素晴らしい作曲をしかつ濃密で洗練された作詞をする女性に出会った。彼女は、ポピュラー音楽の作曲の上での高潔さを知り、それを会得している。彼女の歌は、複雑であるがシンプルだ。というのも、彼女の歌は多くの場合において、私たちに、パラドックスなイメージ、他に類のない韻の踏み方、入念な語彙的な工夫を印象づける。はじめてアドリアーナの歌を聴くことは、しかるべき注意をもって聴くことができる人々にとって、純粋で審美的な経験だ。必ずしもこの順番ではないが、ユーモア、軽やかさ、痛みがある。ただならない言葉と地場の間に緊張を生み出す体験だ。アドリアーナの詩はコスモポリタンだ。種々の情報や都市の偉大な文学の集合から生まれている。しかし、そういった影響を説明しても、彼女の作品の説明にはならない。彼女の作品は決して偶然の産物ではない。(以下略)」
 ポルトアレグレ出身のブラジルを代表する劇監督のルシアノ・アラバルセが『サンバの微生物』の録音に寄せたエッセーからの引用だが、この作品で、アドリアーナは歴代の真に偉大なブラジルの作曲家たちと肩を並べたという彼の宣言に、強く同意せざるを得ない。
 パルチンピン名義含め10作目のアルバムとなる『サンバの微生物』は、アドリアーナの自作曲のサンバのみで占められたアルバムだが、このアルバムで、アドリアーナはアーティストとして更に一段階深化した。一見実験的ではなく、形の上と内容においてはサンバの叙情的な世界を歩く12曲だが、サンバの世界の常識を革新する作品だ。作品は、過去と現在、男性と女性の間の役割の交換をする。
 だが、この美しく力強いサンバを奏でるはずだった『サンバの微生物』のツアーは一度も行われない可能性があった。

◆怪我
 アドリアーナ・カルカニョット、ドラムにドメニコ・ランセロッチ、ギターとカヴァキーニョにダヴィ・モライス、ベースにアルベルト・コンチネンチーノという4人のメンバーで行われている今回の『サンバの微生物』のコンサート。ダヴィが加わる前に、『サンバの微生物』のブラジルでのリリースツアーは当初、3月に一度キャンセルされた。その時には、アドリアーナは、このアルバムのツアーをしない可能性にも言及していた。理由は、アドリアーナが手を怪我し、ギターを弾けないからだ。


──ツアーをやらないかもしれないと言っていましたが、どのタイミングで、今回のツアーをやることに決めたんですか?
アドリアーナ(以下A)
 ポルトガルでのコンサートをどうしてもキャンセルできなかった。ポルトガルを愛しているし、この『サンバの微生物』のツアーをそこでやる機会を逃したくなかった。それで、ポルトガルで3回だけコンサートをやる約束をした。でもそれ以上はやらないつもりだった。手を怪我しているし、それ以上に、自分が作曲して録音したサンバを自分が楽器で演奏できない悲しさ故に。でも、そこで3回コンサートをやってみて、自分で予想していたような悲しさを感じなかった。むしろ逆に、コンサートが気に入って、ステージでのバンドや、セットリスト、観客とか、全部をとても気にいった。結果、今もコンサートを続けていて、まだツアーを終わる予定もない。不思議な縁ね。

 アドリアーナたちはブラジル国内ツアーを開始し、日本でも、東京と大阪で演奏する。現在のアドリアーナの最大の理解者であり、創造的な方法で完璧なリズムを生むドメニコ、彼にしか出せないキレのある音を出すギタリスト・ダヴィ、周りの演奏に合わせ丁寧なフレーズを奏でる信頼のおけるベーシスト・アルベルトに、声の透明度と輝度に益々磨きがかかるアドリアーナの歌。完璧なバンドだ。

──回復具合はどうですか?
 回復はとてもゆっくり。でも、ツアーでダヴィ・モライスがギターを弾いてくれているから、何も心配していない。
──このメンバーとの録音はどうでしたか?
 とても楽しかったわ。彼らはやっていることに愛情を注いでくれたから、全てが順調だった。


 (後編に続く....)→後編はこちらから。

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  1. 2011/10/17(月) 16:42:47|
  2. アドリアーナ・カルカニョット
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