"SENHAS"
◆Columbia 850.161/2-464280(1992年)

●今聴き返すと、プロダクションが脆弱。キーボードの音色やヴォーカルにかけられたディレイが80年代サウンドを引きずっていて、歌謡曲風のMPBというように聞こえる。本人のアーティスティックな指向と大衆性を求めるレコード会社の売り出し方が噛み合っていない、という様子だろうか。それでも、アドリーナ自身による楽曲は十分に凛とした佇まいを見せているし、今より若々しさを残す歌声もなかなかに魅力的。習作の域を出ないアルバムではあるが、原石の輝きを見い出すことは可能な内容だ。カエターノ・ヴェローゾの「オ・ノーミ・ダ・シダーヂ」のカヴァーや、アルナルド・アントゥニスのペンによる楽曲を収録したアルバムでもある。ちなみに、ここまでの初期2作は本国ではアナログLPでも出され、本作のLPのジャケットは表裏のアドリアーナの顔の横の部分が切り取られそこからインナー・スリーヴの色が見える、という特殊仕様になっている。(宮子和眞)
「オ・ノーミ・ダ・シダーヂ」
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