"A FÁBRICA DO POEMA"
◆Epic 2-476442(1994年)

●3作目「ポエム工場」は“女カエターノ”と称されるマルチ・アート、アヴァン・ポップ路線が一気に開花。自身のサウンドをイノベートする感覚が、トロピカリアと符合して評価された。ニュー・シネマのブラジル人監督、ジョアキン・ペドロ・ヂ・アンドラーヂが語った言葉に彼女が曲をつけた「なぜあなたは映画を作るの?」では、オロドゥン風のカイシャにフォルクローレ調のフルートをかぶせるといった実験性が全編を貫く。トロピカリア世代のヴァリー・サロマゥンと共作し、前衛派の建築家リナ・ボ・バルヂに捧げたタイトル曲では、ジャキス・モレレンバウムのチェロとビリンバウをミックス。「スドエスチ」という曲では歌詞に符合しコップを割る音をフィーチャー。アレンジ面での飛躍は数え切れないが、メロディアスでフォーキーな自作の「メターヂ」がテレビドラマの挿入歌で大ヒット。ブックレットも多彩。凝り性度合いは前2作の比較対象にならない1枚。(船津亮平)
「Metade(メターヂ)」
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