"PÚBLICO"
◆BMG 74321756812(2000年)

●ソニーからBMGに移籍しての第1作。本作で注目すべきなのは、レコード会社を移ったのと同時にアドリアーナが自分の創作活動のイニシアチヴを自分で握ることができるようになった、と感じられる内容になっている点だろう。ギター1本の弾き語りによるライヴ・アルバム、という点はソニー時代の“余計なアレンジ”を排して自身の楽曲の本質を伝えたいという意志を表しているように思えるし、オープニングで聞こえる観客の歓声の音の処理も相当に実験的。実際のところ、ソニー時代の作品には今ひとつ思い入れが持てなかった僕も、本作を聴いて一気に彼女の大ファンになった。もうギターは上手いし、歌声は可憐だし、曲はメロディアスなフックに富んでいるし。ニョーヨークのスターリング・サウンドでジョージ・マリノの手によってマスタリングされた音も、ソニー時代とは見違えるような生々しさを伝える。彼女にとっての転機になった名作ライヴだ。(宮子和眞)
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