"MARÉ"
◆BMG JAPAN BVCM-31237(2008年)
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●最初に聴いた時えらく地味なアルバムに思えたのは、『パルチンピン』初作のハジケた姿がまだ残像としてあったからだろう。あるいは、アート・リンゼイが共同プロデューサーに迎えられたことから、マリーザ・モンチでいう『アモール、アイ・ラヴ・ユー』のような超ポップな作品を期待してしまったからかも知れない。つまり本作は超ポップな作風ではないのだが、今冷静になって聴き返すと、落ち着いたトーンに包まれた佳作だと思える。演奏の面では、モレーノ・ヴェローゾ、ドメニコ・ランセロッチ、カシンの“+2トリオ”が大活躍。以前からの断片的な共演、及びこの前年に行なわれた3人との来日公演といった過程が、本作で遂に1枚のアルバムに結実したのが判る。また、カエターノの「オンヂ・アンダラース」をカヴァーするなど、トロピカリア継承ムードも濃厚。アルナルド・アントゥニスとの共作「パラ・ラ」にはアルナルドが歌うヴァージョンも存在する。(宮子和眞)
「ムリェール・セン・ハザォン」ミュージッククリップ
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