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ごくごく一般的な日本人にとってサンバとは、大人数で打楽器を打ち鳴らし、ギンギラな衣装を着て、派手に踊り、歌う音楽といったイメージなのかもしれない。でも、アドリアーナのサンバはちょっと違う。凝り固まりがちな先入観を柔らかく解きほぐしてくれる。マイナー調も多いから内省的にも感じられるけど、実験的な場面でも頭でっかちにはならない。いかにも女性らしい包み込みようなふくよかさがある。それも彼女の強みだ。日本とブラジル、暮らす場所は違っても、同じいまを生き、そんな時代を等身大で映し出す、それがアドリアーナのサンバだ。
4年ほど前の来日公演もとても楽しいものだった。が、今回は『パルチンピン・ドイス』リリース以後、気心の知れたメンバーが同行していることも大きい。アドリアーナ・パルチンピン名義の作品を子供向けだからと侮ってはいけない。『セサミ・ストリート』がそうであるように、誰もが楽しめる、そのツボの押さえ方を『ドイス』で彼女はさらに会得したように思えるからだ。
『サンバの微生物』はとてもクールでスタイリッシュな作品だ。けれども、スタジオ録音とはまたひと味違うきらきらと輝く表情を、彼女たちはライヴで見せてくれるだろう。
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高橋道彦さん、ありがとうございました!
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